[アブソリュートのウオッカにしますか、それともウイスキー?」
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- ビレッジにあるキャロルの自宅に人が集まれば、すぐにアートの雰囲気に満ちたパーティーが始まる。その日も元CIAのエージェントで今はアートディーラーをやっているというアルン、オリンピックタワーにすんでいるというレバノン出身の若き女流画家の卵サナ、みずからも社交サロンを主宰しているグロリアなどが集まっていた。部屋から部屋へと案内されながら、そこここにディスプレイされている超リアルでセクシーな作品について、キャロル自身が解説を加えてくれる。階段の踊り場、廊下の壁面も、すべてディスプレイボードになっている。
- 室内空間全体が、さながらひとつの美術館だ。アブソリュートのウオッカで乾杯し、極上のチーズに舌鼓を打ちながら、キャロルの作品をふんだんに使った映画製作の夢へと話ははずんでゆく。
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マルコム・フォーブズがキャロルをスターの世界へ導いた
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- 「私がマルコム・フォーブズに初めて出会ったのは、57番街にあるハンソンギャラリーで個展を開いた時のことです。その3年前に開いた個展では何も売れず、2回目のこの時も、何も売れないまますでに2週間の時間が過ぎ去ろうとしていました。
- 私のディーラーが、みかねて、エロティックなモチーフの作品も展示してみたらと勧めてくれたので、しぶしぶそれに応じたばかりの時でした。石を素材にした、たった5ドルの小品を買ってくれそうな人がいたので、会場でその商談をしていました。実はその時、横でその商談が終わるのをしんぼう強く待ってくれている人がいたのです」
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- それが、マルコム・フォーブズだった。
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- 「彼は、私のエロティックなモチーフの作品について質問し、翌週の月曜日の朝8時に電話するよう言いました。9点の作品を指定され、その見積もりが欲しいというのです。月曜日、はやる心を抑えながらマルコム・フォーブズに電話をしました。
- 彼は、9点すべてを買い上げてくれたのね。これが私のアーティストとしてのキャリアの始まりです。
- マルコム・フォーブズは、買った作品を引き取るため私のスタジオにリムジンで乗りつけてきたわ。その後、ニューヨークでも有名な彼のワインセラーから私の好みのワインボトルを選んで、一緒に祝杯をあげました」
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- キャロル・ジーンは、いまやニューヨークを代表する彫刻家である。超写実主義的で、なまめかしくリアルな作風が、その特徴だ。彼女自身は、それを「幻影的な官能性」と呼ぶ。
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- 「スーパーリアリズムの分野では、ほかにデュアン・ハンソンやジョン・ディアンドレアがいます。しかし、抽象主義と表現主義が主流を占めていた80年代において、それぞれが独自のスーパーリアリズムを確立してきたのです」
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- キャロルの自宅兼スタジオで、絵筆をとる女流画家の姿を目にした時、私は思わずハローと声をかけてしまうところだった。去年のクリスマス、その作品を印刷したカードがキャロルから送られてきた時、どうしてもキャロル自身の写真に見えてしかたがなかった。
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- 「20年近くアートの制作を続けていますが、決して彫刻ばかりではなく、絵も描いてきました。絵は、彫刻のようなスーパーリアリズムではなく、いわゆる写実的なものです。これからは絵の比重が高まるかもしれません。いつも自分の中をのぞいて、その声に素直でありたいと願っています。
- こつこつ仕事をしていたら、ある日、人から、予期もしていなかった『キャロルの作風』についての話を聞かされました。
- 社会に何か自分の足跡のようなものが残せれば、そしてアートを通じて、思わず人々をスマイルさせることができれば最高ですよね。
- 環境芸術にも取り組んでみたいと思っているの。今後の創作活動の中で、都市の美化に役立ち、ホームレスの人たちの支援ができればと願っています」
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- いつも夢見る少女だった、というキャロル・ジーンのハートは、優しく純粋だ。
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さまざまなアートの精華がキャロル・ジーンのなかでブレンドされる
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- 「私に影響を与えた芸術家は、数えきれません。ロダン、ミケランジェロ(特にその未完成の作品の数々)、イサム・ノグチ、ルネ・マグリット、ジョージ・シーガル、イブ・クライン、ピカソ、レンブラント、ヘンリー・ムーア、ジェームズ・ローゼンクイスト。
- 作家も、シェークスピアからジュディス・クランツまで、なんでも読むわ。最近見た映画で特に感銘を受けたのは『ゴースト』『JFK』など。ウッディ・アレンものも好きです。ロビン・ウイリアムズやジェシカ・タンディの出演する映画はほとんど見ています。
- 世界中を旅することが、私の趣味です。南フランス、スペイン、ギリシャ、イタリアのリビエラ、そして世界中のビーチが、私の創作にひらめきを与えてくれるのね」
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- キャロルの代表的な作品は、セクシーな肉体像、水滴ものと呼ぶ水滴を身体にきらめかせた彫刻、子供や老婆などのファミリーものに分類されるが、スポーツマンシリーズなどの創作構想もある。環境アートのモチーフも、今後は加わってゆくのだろうか。
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- 「アブソリュートの販促のために、3つめの彫刻『アブソリュートサマー』を完成させたところです。前の2つの作品は、宣伝用の車に載せて、ニューヨーク中を走り回り、大きな成功を収めました」
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- アブソリュートは、シトロンの味で有名なスウエーデン製のウォッカだが、『アブソリュートサマー』は、ソーホーにあるギャラリーヒーノックでの個展で5月9日にデビューした。
- 日本で今年の7月から12月にかけて開催される移動グループ展でも、キャロルの作品は紹介されることになっている。東京の伊勢丹美術館を皮切りに、大阪の大丸、広島市現代美術館を回る予定。
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- 「ディアン・ハンソンとの共同展も、まもなくストックホルムで開催されることになっています。ロスのフレデリック・ワイズマン・アートファウンデーションからも、最近大きな仕事の依頼を受けました」
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- 創作意欲、知名度ともに、まさにピークを迎えようとしているキャロル・ジーン。しかし、日曜日には、いつも完全なオフの時間を満喫している。
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- 「読書、星占い、映画、観劇が私の趣味です。ザローズカフェ、ザコーフィショップ、ザボックスツリーなどがいきつけのレストラン。キャナルストリートやロウアーイーストサイドでのショッピングも息抜きには最高です。リトルイタリーやアイリーンのチーズケーキショップは、ニューヨークの匂いそのものを発散しているわね」
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- ニューヨークは、キャロル・ジーンの創造力を触発する街だ。
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